MEDICAL CARE診療方針・内容

一般小児科

発熱や咳、鼻水、嘔吐、下痢、皮膚疾患など今日診てほしいとき
一般診療枠をご利用ください(詳しくは診療時間をご覧ください)

小児科医は頭のてっぺんから足先まで全身を診ます。内科医のように心臓だけとか、消化器だけという感じではなく、全身を診ることができ、かつ、発達・発育、予防接種を行えるのが小児科医です。その上で、アレルギーや心臓、神経、血液、内分泌、新生児、腎臓などの分野を専門的に診ます。また、こどもに関係することであれば、小児科専門医は相談役・窓口ですので、何でもお気楽にご相談ください。
以下の内容は一般的な内容ですので、お子さんによって異なることがありますので、参考程度にして下さい。

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のど・はな風邪

「風邪はさまざま」

いわゆる“かぜ”の定義は人によってバラつきがありますが、基本的には上気道(のどや鼻)の急性炎症の総称です。ウィルスに感染して、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱といった症状がおこります。ウィルス感染のため抗生剤は無効ですし、必要ないです。「発熱=抗生剤」と思われている方もいらっしゃいますが、このように思ってしまうのは医療側の責任もあります。ひと昔では熱で受診したら抗生剤を必ず処方されるのが常識だったからです。そのような医療を提供されていたら、逆に抗生剤なしで様子見ることが不安でたまらなくなってしまいます。このようなお母さん達に何人も会いました。

風邪に対しては、抗生剤ではなく、しっかりと水分(塩分や糖分も)をとって、家でゆっくり休むのが一番です。咳や鼻水があれば、それに対するお薬を飲む。それを“対処療法”と言います。ただし、場合によっては、細菌感染であったり、インフルエンザであったりしますので、診察時の状態(例えば、発熱が3日間以上)によってはウィルスによる風邪以外を考える必要があります。その場合は血液検査(院内でCRP検査ができます)や迅速検査(インフルエンザや溶連菌など)で正確に原因精査を行い、適正な治療につなげます。

気管支炎・肺炎

「“咳の風邪の重症版”」

これは突然なる場合もありますし、風邪をこじらした場合でもなります。咳、痰がメインの症状で、場合によっては、日中は下がるが、夕方になると38度の発熱(弛張熱)を認めることがあります。熱がなく、咳だけの場合もあり、受診の目安は、夜間眠れない・起きてしまう咳や2週間以上続いている咳の場合、発熱3日以上の場合です。咳だけの場合、中には、ゼーゼー・ヒューヒューまでは言わないけど、状況によっては発作が起きている“隠れ喘息”と言われるような場合もありますので、一度、聴診を受けることをお勧めいたします。

胸の音で、ゴロゴロやバリバリといった異常な音が聴こえることがあります。この場合は、マイコプラズマや百日咳、細菌といった感染の可能性が高く、抗生剤が必要となる場合があります。この場合の抗生剤は、アジスロマイシンやクラリスロマイシンといったとても苦い抗生剤です。酸味のある飲み物(オレンジジュースや経口補水液など)と混ぜて飲むと、苦みがさらに増しますので、処方された場合は薬局でも薬剤師から説明がありますが、内服の仕方に注意が必要です。呼吸状態によっては、入院が必要な場合もあります。レントゲン撮影は必須ではありませんが、長引く咳やレントゲン撮影のご希望がある場合は、他の内科医院などの関連施設で撮影できます。

胃腸炎

「いわゆる“おなかの風邪”」

ノロやロタなどのウィルスに感染して、嘔吐、嘔気、腹痛、下痢、発熱といった症状を認めます。これも基本的にはウィルス感染ですので、抗生剤は不要ですし、内服するとかえって下痢や腹痛が悪化することがあります。水分(塩分、糖分も)をしっかりとって脱水を防ぐことが一番大切です。

嘔吐症状がひどい時は、制吐剤の座薬を使ったり、点滴で水分と制吐剤などを投与したりすることがあります。それでも嘔吐症状が繰り返す場合や脱水がひどい場合には入院での点滴加療が勧められます。嘔吐症状のピークは1-3日間ですので、その時期を乗り越えられればほぼ大丈夫です。

また、気を付けないといけないのが、1~2日以上続く発熱、激しい腹痛・下痢、血便です。この場合、幼児や学童児であれば虫垂炎(いわゆる“盲腸”)と細菌性腸炎(食中毒)、乳児であれば腸重積である可能性があります。症状や食べた物(生卵や豚肉・牛肉)などによって判断し、必要であれば検査(腹部エコーや便培養検査)を行い、虫垂炎の場合は手術、細菌性腸炎の場合は抗生剤内服、腸重積の場合は高圧浣腸あるいは手術が必要なことがあります。

尿路感染

「熱だけの時はおしっこの感染に注意」

症状は発熱、排尿時痛、血尿、膿尿などありますが、こどもの場合は、発熱のみの場合がほとんどです。細菌が尿路に感染して炎症を起こすことで、炎症の場所によって腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎とよばれます。原因は大腸菌が9割です。

乳幼児で繰り返す場合は、尿路の形態に異常(膀胱尿管逆流症や腎盂尿管移行部狭窄症など)があることがありますので、超音波検査(当院で検査可能)や膀胱尿道造影検査(病院にて検査)など精査が必要となります。幼児や学童児の場合は女児に多く、排尿や排便後の拭き方の確認が必要です。

検査はまずは尿検査で調べ、尿の培養検査で菌が相当数でれば確定です。オムツの場合、尿パックを貼り、尿をとりますが、女の子の場合は採取が難しいこともあります。尿路感染の原因がほとんどは細菌であるので、治療は抗生剤を使用します。

中耳炎

「乳幼児は中耳炎になりやすい」

耳の中にある中耳という所に膿が溜まり、炎症が起きる病気で、0歳~3歳ごろに罹りやすいです。

小さい子が罹りやすい理由は、子どもの耳と鼻をつなぐ耳管という管が短く、鼻とほぼ同じ高さにあるため、鼻水が耳に行き易いからです。鼻水が黄色や緑色の場合は注意が必要です。

中耳炎の診断は鼓膜を診ることです。発赤や腫脹があれば急性中耳炎で、発赤はないけども水が溜まっている場合は滲出性中耳炎と言います。前者の場合は、ウィルスが原因のこともありますが、細菌が原因のことが多く、抗生剤治療が必要となることがあります。鼓膜切開が必要な場合は耳鼻科受診が必要ですが、基本的には鼻処置と内服加療になるため、小児科受診でも大丈夫です。

中耳炎は繰り返しやすいです。一番の予防は鼻吸引です。黄色や緑色の鼻水がでてきたら、少なくとも1日1回は鼻吸引をしましょう。自宅にお持ちの方は自宅でもよいですが、しっかり吸いたい時は当院にお越しください。また、中耳炎を3回以上繰り返す場合は、鼻水の細菌培養検査を行い、原因菌の特定と抗生剤の適正な使用を行っております。

インフルエンザ

「インフルは毎年1月~2月がピーク」

例年、12月ごろからでだして、1月~2月に流行となります。インフルエンザに罹ると、発熱、咽頭痛、咳、鼻水などの症状が主に出ます。時に、嘔吐や腹痛、下痢などの胃腸炎のような症状を伴うこともありますし、37度台の微熱程度の症状しかない時もあります。

抗インフルエンザ薬(タミフルやイナビルなど)で解熱することがほとんどですが、こどもで注意しないといけないことは、インフルエンザ脳症・脳炎です。痙攣や意識障害などを伴う時は入院して精査・加療が必要です。以前にタミフルによる異常行動誘発の可能性が指摘され、いろいろと調査・研究されましたが、最終結論としては、因果関係はないとなりました。ただ、10代(10~19歳)はタミフルの使用を控えるようになっております。また、0歳児に対するタミフルは2016年秋に正式に適応が通りましたので、現在では0歳児でも使用が可能です。

インフルエンザ検査は発熱(38度前後)から12~24時間経っていると正確に判定できますので、発熱10時間以内の場合は偽陰性(本当はインフルエンザだけど、検査では陰性)の割合が高くなります。また、インフルエンザにはA型、B型があり、その中でも、香港型やビクトリア型、フロリダ型などいくつか種類があるため、1シーズンでA型→B型→A型と3回罹る場合もあります。

保育園や幼稚園、学校は少なくとも6日間(発症日+5日間)、発熱が長引けば1週間前後(解熱日+3日または2日)は登園・登校ができませんので、お母さん、お父さんたちへの負担も大きいです。インフルエンザワクチンは接種しても罹ることがありますが、予防ができる、あるいは軽くて済むことの方が多いです。例年、10月~12月で接種しますので、接種をお勧め致します。

予防が第一で、それでも、感染・発症したら早期かつ正確な診断と治療が必要ですね。

溶連菌

「正式にはA群溶血性連鎖球菌という細菌感染症」

のどに感染して、咽頭痛、イチゴ舌、発熱、発疹などの症状がでます。主には学童でかかることが多いですが、乳幼児でも大人でも罹ります。咽頭(のど)の検査で、10~15分程度で診断できます。インフルエンザ検査とは異なり、熱がなくても、熱から早期でも、検査ができます。

溶連菌はウィルスではなく、細菌であるため、抗生剤治療が有効です。抗生剤は10日間のタイプ(ペニシリン系)と5日間のタイプ(セフェム系)があり、有効性は同等と言われております。抗生剤内服を開始し、通常は2―3日で症状軽快しますが、ぶり返すことや合併症(腎炎やリウマチ熱など)があるため、処方期間全てちゃんと飲み切ることが大切です。

保育園や幼稚園、学校は解熱後24時間経過していれば、登園・登校できます。また、溶連菌には何種類か型があるため、1回だけではなく、何回も罹ることがありますので、1回罹ったからと言って安心はできません。1年に5~6回罹った子もいました。

発達・発育相談

「発達・発育はさまざま」

発達とは、ハイハイできるようになった、しゃべるようになったなどの運動面や言語面に関する成長のこと、発育は、身長・体重などの身体面の成長のことを言います。乳幼児健診はでは、発達面と発育面の両面から診ます。もちろん、より詳しい検査や治療などが必要な場合はありますが、歩けるようになる時期や有意語がでてくる時期には個人差があり、その個人差を加味しながら、様子を見守るのか、より詳しい検査をするのかを判断します。したがって、1度だけでは、異常や精査要と判断できないこともあり、経過を診させて頂く事もあります。

また、3~5歳以降で、多動傾向や言葉の発達面の相談・精査となると、小児科医の中でも発達専門の先生の診療が必要になることがあります。もちろn、専門医師による診断・診療は必要ですが、いきなり、大学病院などの受診となるとハードルが高いかもしれませんので、時には、地域の療育センターや保健所などの相談センターをご利用頂くのも一つです。その場合、日常生活面での支援もして頂けることもあります。

熱性痙攣

「熱性痙攣は約8%」

発熱を伴い、痙攣する場合に熱性痙攣と言います。熱性痙攣はこども特有で、起いきる機序はいろいろと言われておりますが、脳が発達段階で未熟で敏感なため熱によって痙攣を起こすとも言われております。熱性痙攣を起こしやすい体質・遺伝も言われており、お母さん、お父さんが小さい時に起こしているとそのお子さまも起こしやすくなります。

熱性痙攣の原因には、主には突発性発疹とインフルエンザがあります。通常の熱性痙攣はほとんど問題ないことが多いですが、注意が必要な熱性痙攣は、5分以上持続する場合、2回以上の痙攣、痙攣後の意識が清明でない場合です。この場合には、髄膜炎や脳炎などが隠れていることがあるため、病院にて精査加療が必要です。

発熱を伴わない痙攣の場合は、無熱性痙攣と言いますが、この場合はてんかんなどを考える必要がありますので、脳波や頭部MRIが必要なります。熱性痙攣の場合は、熱が原因のことがほとんどのため、このような脳波や頭部MRIは不要なことが多いです。

熱性痙攣の予防薬として、ダイアップ座薬があります。痙攣後1回使用し、その8時間後に2回目を使用し、24時間薬を効かせて、痙攣を予防する薬です。この使用方法に関してはガイドラインでもある程度規定されておりますが、過去に熱性痙攣2回以上、あるいは、痙攣重積を起こした方などは予防の適応となります。ただ、使用すると眠気の作用もあり、ふらふらするため、ケガには注意が必要です。

突発性発疹症

「突発は2回罹ることあり」

突発性発疹症(略して、“突発”)は発熱が3日間あり、解熱後に発疹がでる、のど風邪の一種です。生後6か月から1歳前後でかかること多く、生まれて初めての発熱の時に、実は突発という事が多いです。時に、下痢したり、痙攣したりすることもありますが、高熱のわりに、元気であることが多いです。

解熱してから発疹が顔と体幹にでて初めて診断できるため、経過を診てからの判断になります。なぜだか分かっておりませんが、発熱時よりは、解熱後の発疹がでている時の方がすこぶる不機嫌です。3-5日で発疹がひいていくまでの辛抱です。

突発の原因のウィルスは2種類いますので、1回のみではなく、2回までは罹ることがあります。また、罹ったことがなければ、年長さんや小学生でも罹ることがあります。

手足口病

「手足口病は6~8月がピーク」

手と足と口に発疹がでて、時に熱もでるウィルス性の感染症です。手のひらや足の裏に発疹がでるのが特徴的ですが、お尻や大腿部、体幹部にでることもあります。熱は1~2日で下がることが多いです。発疹は熱と同時か、あるいは、発熱1~3日後にでてくることもあります。

原因がウィルスのため、抗生剤は効かず、特効薬はなく、治るのを待つことになります。のどに痛みがでることがあるため、お粥やうどんなど喉ごしがよいものや水分をとるようにすることがお勧めです。原因のウィルスは何種類もあるため、何回でも罹ることがありますし、大人もかかることがあります。

アデノウィルス感染症

「アデノは発熱期間が長い」

高熱や目脂、咽頭痛、咳、嘔吐、下痢の症状がでることがあります。咽頭炎と結膜炎を伴った場合は咽頭結膜熱(いわゆる“プール熱”)、結膜炎のみの場合は流行性角結膜炎(いわゆる“流行り目”)になります。プール熱と言われるように夏場に流行しますが、冬でも、春でも流行ることがあります。保育園・幼稚園・学校への登園・登校は、“主要症状消退後2日”経過してからで、通常は登園・登校許可書が必要です。

38~40度ほどの高熱で、発熱期間が平均して5日前後はありますので、2~3日で解熱することもあれば、7~10日前後発熱が持続することもあります。水分摂取ができない、夜間も咳で眠れない、5日以上の発熱の場合などは、入院しての点滴加療が必要となることがあります。アデノウィルスの中に、症状が強くでる型があるため、注意が必要です。

RSウィルス感染症

「RSは“かぜ”のウィルス」

RSウィルスに罹ると、鼻水、咳がでることがあり、特に、0歳児が罹ると、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)と発熱を伴うことがあります。また、早産児や心臓疾患、神経疾患などお子さまが罹ると、重症化するリスクが高いため、注意が必要です。そのようにリクスが高いお子さまには、RSウィルスに対する抗体“パリビズマブ(シナジス)”という注射薬の使用が適応となります。非常に高価な薬剤のため病院のみで扱うことが多いですが、当院ではご家族の利便性を考え、ご希望者の方には接種をしております。接種は月1回ごとで、接種時期は例年RSウィルスが流行する9月から翌年の3月か4月までです。

ただ、基本的には、RSウィルスは風邪のウィルスですので、全員が必ずしも重症化する訳ではありません。インフルエンザのように治療薬がある訳ではなく、学校保健安全法でも出席停止期間の定め・規制はありません。つまり、登園・登校に関しては、風邪と同様で、37.5度以上なく、元気であれば登園・登校は可ということです。検査は1歳未満の乳児のお子さんか、入院する場合が主に保険適応となります。それ以外の場合で検査ご希望の場合は自費となります。

水痘

「いわゆる“みずぼうそう”」

水痘ウィルスによる感染で、全身に水疱を伴った発疹が特徴です。発赤疹→水疱→痂疲(かさぶた)の3段階を経ます。発熱や嘔吐、痙攣などを伴うこともあります。通常の風邪とは異なり、感染経路が空気感染であるため、非常に感染力が強いです。同じ空間にいるだけで、接触せずとも感染します。

水痘には抗ウィルス薬と外用薬があります。内服すると、1~3日ほどで解熱、症状軽快することが多いですが、発疹を掻きむしってしまうと、ばい菌が入り、化膿し、“とびひ“(伝染性膿痂疹)となることがあるため、”カチリ“という殺菌・痒み止めの塗り薬を使用します。

保育園や幼稚園、学校には、全ての発疹が痂疲化するまでは行けませんので、治癒するのに概ね5~7日程度かかります。ただし、2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となり、定期接種後のお子さんが感染することはほぼなく、定期接種化前で接種を受けてないお子さんが罹ることが多い状況になっております。

おたふく

「ムンプスワクチンは2回接種が推奨」

流行性耳下腺炎とも言います。ムンプスウィルスというウィルスに感染して起きる病気で、主に、耳の下にある唾液を出す組織、耳下腺が腫れて、痛みがでます。7割方は右左とも症状がでますが、片方のこともあります。特効薬はなく、対処療法(熱や痛みには解熱鎮痛剤など)となります。診断は症状で行いますが、症状が不確かな場合や繰り返す耳下腺炎の場合は血液検査にて判断します。

ただし、検査結果がでるまで1週間前後はかかるため、症状からムンプス疑い又はムンプスと診断された場合は少なくとも6日間(腫れる症状がでた日+5日間)は登園・登校ができません。おたふくかぜで注意したい合併症は、髄膜炎・脳炎、難聴、精巣炎(成人)です。

予防が大切で、ムンプスワクチン(1歳時、5-6歳時の計2回)の接種をお勧めします。


小児科と関わる他の診療科の疾患

小児科医は、こどもに関わる全ての事の相談役・窓口役です。
悩まれたら、ご相談ください。適切なアドバイスをさせて頂きます。

<耳鼻咽喉科>

中耳炎、副鼻腔炎、難聴、扁桃腺肥大などあります。耳鼻科と小児科、どちらに受診した方がよいか悩むときもあるかと思います。それぞれの主な強い点、弱い点を挙げると、小児科は、急性中耳炎は診断し治療することができます(ほとんどの中耳炎は抗生剤内服で治癒しますが、時に鼓膜切開が必要な場合は耳鼻科での処置が必要です)が、その他はほぼ診療できないことが多いです。耳鼻科は、みみ、はな、のどに関することは専門的に診療できますが、熱や咳が伴うと、その他の診察・治療はできません。つまり、鼓膜切開や扁桃切除などの外科的な治療や聴力・鼓膜検査などの専門的な検査の場合は必ず耳鼻科で、それ以外の、鼻炎、中耳炎、アレルギー性鼻炎などの場合は小児科でも診療しており、当院では鼻吸引や簡単な耳垢除去も行っております(耳垢除去は五十嵐が担当)。

<眼科>

斜視や弱視、逆さ睫毛などの場合は眼科で、目脂などの結膜炎、アレルギー性結膜炎の場合は、当院でも診療が可能です。また、斜視や弱視、麦粒腫(ものもらい)などで特殊な精査、加療が必要となる場合があり、その時は、通常の眼科クリニックでは診ることができないことも多いため、小児眼科の診療を行っている専門施設へ紹介させて頂きます。

<皮膚科>

乾燥肌、湿疹、蕁麻疹、虫刺され、アトピー性皮膚炎、水いぼなどいろいろな皮膚疾患がありますが、小児科でも診療しております。保湿剤の処方や、アトピー性皮膚炎での湿疹のコントロール(ステロイドや時にはプロトピックという免疫抑制剤)も行います。ただ、皮膚疾患の中には、例えば、腫瘤(いぼなど)や母斑(あざなど)などで皮膚科診療が必要な場合はご紹介あるいはご説明いたします。

<小児外科>

外科医の中に、小児専門に診ている小児外科医がいます。鼠径ヘルニア、白線ヘルニア、停留睾丸、陰嚢水腫、臍ヘルニア、包茎、肛門周囲膿瘍などを専門的に診ます。もちろん、手術が必要な場合は小児外科医がいる施設へ紹介をさせて頂きますが、中には、小児科外来でも診ることができる場合があります。例えば、臍ヘルニア(いわゆる“でべそ”)の場合、いきなり手術ではなく、“綿球による圧迫治療“があります。これは、生後半年以内に綿球を臍にあて、その上から防水テープを貼り、治療するというもので、数か月続けると、お臍の出っ張りが改善することがありますので、その指導をさせて頂きます。また、包茎の場合、ステロイド外用を亀頭部に塗布することで改善してくることもあります。内科的治療で治ったら外科的な治療は必要ないですし、内科的な治療で治らない場合で外科的な治療が必要な場合はご紹介をさせて頂きます。

<整形外科>

こどもで整形外科的な疾患には、股関節脱臼、成長痛、股関節炎、肘内障などあります。時には、小児科でも肘内障の整復が必要な時はありますが、明らかな外傷や腫れなどでは、整形外科での診療が必要です。健診では、特に、股関節脱臼の見落としに注意が必要で、疑わしければ、整形外科、時には、小児整形外科医へ紹介をさせて頂きます。

アレルギー科

気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・花粉症などアレルギー専門の外来です

さまざまなアレルギー疾患は個別のものではなく、アレルギー体質に基づいて、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症などそれぞれが密に関連しているものです。0-1歳時に食物アレルギーやアトピー、4-6歳時に喘息、10-12歳時に花粉症といったように、年齢によって出やすいアレルギー症状があります。それを「アレルギーマーチ」と言います。この考えを初めて提唱したのが、同愛記念病院にいらした馬場実先生です。このマーチをいかに切り抜けるかが大切です。いろいろなアレルギーがあっても大丈夫。お子さんがのびのびと成長できるよう、お手伝いをさせて頂けたらと思います。アレルギー診療に関して、巷では特殊な治療や民間療法などを行っているようなクリニックもありますが、当院では、あくまでも、日本アレルギー学会や日本小児アレルギー学会が提唱しているガイドラインに則った、標準的かつ根拠に基づいた診療を行っております。以下に記載した疾患以外でも、原因不明の蕁麻疹や湿疹、皮膚疾患、長引く咳、金属アレルギーなど、ご希望あれば、診療致しますので、ご相談下さい。

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新しいアレルギー治療薬

アレルギー分野において、分子標的治療薬と言われる、新しい治療薬が近年次々と開発承認され、重症の気管支喘息の方や難治性の蕁麻疹の方、重症のアトピー性皮膚炎の方、花粉症の方など、症状とQOL(生活の質)を劇的に改善できるようになってきてます。

具体的には、2012年にオマリズマブ(ゾレア®)、2016年にメポリズマブ(ヌーカラ®)、2018年にデュピルマブ(デュピクセント®)とベンラリズマブ(ファセンラ®)、2020年にデルゴシチニブ軟膏(コレクチム外⽤剤®)、2021年ウパダシチニブ錠(リンヴォック錠®)とジファミラスト軟膏(モイゼルト外用剤®)、2022年ネモリズマブ(ミチーガ®)が使⽤できるようになってきております。

治療薬によっては適応年齢が定められているため、当院では適応疾患と適応年齢に沿って、ゾレア注射薬、ヌーカラ注射薬、デュピクセント注射薬、コレクチム外⽤剤、モイゼルト外用剤など、気管⽀喘息の⽅や蕁⿇疹の⽅、アトピー性⽪膚炎の⽅などに、適応に応じて治療を⾏なっております。

コレクチム外⽤剤は2021年から、モイゼルト外用剤は2022年から、アトピー性⽪膚炎の⽅に使⽤できるようになった塗り薬です。アトピー性⽪膚炎の外用治療は、約20年間、ステロイド剤以外の外⽤剤としてはタクロリムス外⽤剤(プロトピック®)のみでしたが、コレクチム外⽤剤・モイゼルト外用剤はステロイド剤とは異なる外⽤剤で、⻑期間使⽤のリスクはほぼなく、⽪膚の「かゆみ」を抑えることで、ステロイドの使⽤頻度と使⽤量を減らし、アトピー性⽪膚炎の⻑期安定を⽬指せる薬です。

デュピクセントは2023年にアトピー性⽪膚炎の治療薬としての適応年齢が15歳以上から、⽣後6ヶ⽉以上に拡⼤されました。アトピー性⽪膚炎で、痒みや湿疹に苦しんでいるこども達にとって、有益な薬剤となります。15kg〜30kg未満の概ね⼩学⽣の⽅の場合ですと、4週間に1回の注射(成⼈などでは、通常、2週間に1回)で⾏えますので、注射の回数的にも導⼊しやすいです。この注射薬は、アレルギー科専⾨や⽪膚科専⾨の医師が扱うことができますので、ご希望の⽅やご興味がある⽅は専⾨外来にてご相談を受け付けております。

注射薬のメリットはステロイドよりも効果がある点とステロイドの副作⽤(むくみ、易感染性、胃潰瘍など)がなくなる点です。注射薬のデメリットは注射の痛みがある程度ある点と⾃⼰負担額の費⽤⾯です。痛みに関しては、注射薬が冷えた状態ですと痛みも強くなるので、なるべくそのような状況を避けるなどの⼯夫を⾏なっております。自己負担額の費⽤⾯については、年齢や年収などにもよって変わりますが、医療証制度(2024年3⽉時点、東京都23区内在住で高校3年⽣以下の⽅は無料)、⾼額医療費制度なども使⽤できます。各製薬会社が医療費に関する案内先や問い合わせ先を設けておりますので、以下のリンク先をご参考して頂きますようお願いします。

気管⽀喘息、アトピー性⽪膚炎、蕁⿇疹、花粉症で、お困りの⽅や新しい治療薬をご希望の⽅は、専⾨外来にて、ご遠慮なく、ご相談下さい。

※ゾレア注射薬、デュピクセント注射薬、ミチーガ注射薬は都度の発注制となりますので、一度、受診して頂き、診察・検査にて適応基準を満たしているかどうかを確認してから、注射薬発注となります。(初めて受診する方の場合、受診初日から注射薬投与はできませんので、ご了承ください。)

【適応疾患と年齢】(2024年3⽉時点)
ゾレア注射薬:気管支喘息(6歳〜)、スギ花粉症(12歳〜)、蕁麻疹(12歳〜)
ヌーカラ注射薬:気管支喘息(6歳〜)
デュピクセント注射薬:気管支喘息(12歳〜)、アトピー性皮膚炎(生後6ヶ月〜)
ファセンラ注射薬:気管支喘息(15歳〜)
コレクチム外用薬:アトピー性皮膚炎(生後6ヶ月〜)
モイゼルト外用薬:アトピー性皮膚炎(生後3ヶ月〜)
ミチーガ注射薬:アトピー性皮膚炎(13歳〜)

【医療費などについてのリンク先】
ゾレア注射薬
ヌーカラ注射薬
デュピクセント注射薬
ファセンラ注射薬
コレクチム外用薬
モイゼルト外用薬
ミチーガ注射薬

2024.2.14 医)こどもハート作成 無断転載・無断使用禁止 All rights reserved.

アレルギー科で専門的な検査

アレルギー科で専門的に行う検査としては、血液検査(IgE検査)、食物負荷試験、鼻汁好酸球検査、呼吸機能検査(スパイロメトリ―)、呼気一酸化窒素濃度測定検査(呼気NO検査)、皮膚テスト(プリックテストやパッチテスト)などがあります。

検査ごとにそれぞれの特性(向き、不向き)がありますので、患者さんへの詳細な問診と診察、および、対象疾患によって、その方に合った検査を適正に選び行います。検査対象となる疾患は、アレルギー性鼻炎、花粉症、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などです。

問診と診察によって、検査適応の有無を医学的な必要性に基づいて判断しますので、患者さんが求めていた検査を保険診療にて行う事ができる場合と、保険診療ではなく自費診療であれば行う事ができる場合があります。

各種検査については、それぞれの説明内容のご参照をお願いします。各説明文章をお読みいただき、検査に関するご質問やご希望の検査などがございましたら、診察時に、ご遠慮なく、ご相談をお願いします。

< 血液検査(IgE検査)>
アレルギー関連の検査で最もよく使用される検査です。
血液検査は、スギ花粉やダニアレルギー、果物アレルギー、食物アレルギーなどの診断時と経過フォロー時に行います。血液で検査できるアレルゲン項目の種類は100項目以上あります。検査方法には、単一測定法(CAPなど)とマルチパネル法(MASTやVIEWなど)という2種あります。
単一測定法は、アレルゲン項目を患者さん毎に取捨選択(アレンジ)ができ、最大13項目まで保険適応にて検査可能で、検査結果の感度と精度が高く、陽性率と陰性率が高い点が利点です。ただし、検査できるアレルゲン項目とアレルゲン数は、年齢と症状によって変わりますので、その都度、問診と診察によって医学的な適用を判断させて頂きます。
マルチパネル法は、あらかじめ決められたアレルゲン項目(アレンジはできない)で、約30項目について検査ができる代わりに、検査結果の感度と精度が低く、偽陽性率(=間違って陽性となる)と偽陰性率(=間違って陰性となる)が高いのが欠点です。例えば、今まで小麦を食べても症状がなかったにも関わらず、マルチパネル法にて小麦が陽性になり、小麦を除去してしまう場合があり、間違った判断の元となるリスクがあります。
また、マルチパネル法は、単一測定法とは検査データの単位が異なるため、検査結果の正確な比較検討ができないこと、また、検査データの経時的変化(1年前の検査結果と比べて、値が下がったのか、上がったのか)を見ることができない欠点があります。逆に、単一測定法は、他院で測定した検査結果でも比較検討ができ、さらに検査データの経時的変化を見ることもできます。
上記より、アレルギーを専門とする当院では、マルチパネル法ではなく、感度と精度がより高い単一測定法を採用しております。費用は、保険での検査(3割負担)であれば、検査費用(約4,000円)+初再診療などの費用で、合計約5,000〜7,000円で、検査結果は約1週間前後で出ます。

< 食物負荷試験 >
少量の食物(アレルゲン)を食べて、その後、症状が出るかどうかを見る検査です。
血液検査や皮膚テストと比べて、より確実に、アレルギーがあるかどうかが分かる検査です。ただし、症状が出る可能性があるため、摂取する量の調整が必要である事、また、症状が出たときへの対応が必要になりますので、検査の実施には専門的な知識と経験が必要です。
当院では、外来で行える範囲にて、食物負荷試験を適宜実施しておりますので、ご相談ください。ただし、診察により、入院施設がある病院での検査の方が望ましいと判断した場合(例えば、アナフィラキシーの方など)は、連携病院へ適切に検査依頼をさせて頂きます。

< 鼻汁好酸球検査 >
アレルギー反応の時に鼻汁中に出る好酸球(白血球の1種)を見る検査です。
インフルエンザなどの検査のように、細い綿棒を使い、鼻腔から鼻水をとり、顕微鏡を使い好酸球があるかないかを見ます。採血のような痛みは少なく、比較的簡便に行え、1〜3歳ぐらいのお子様でも検査できます。
アレルゲン(スギやダニなど)の特定はできませんが、アレルギーによる鼻水なのか、そうでないのかは分かりますので、まずは、鼻汁好酸球を検査し、その結果を見てから、採血(アレルギー検査)を行うかどうかを考えるというのも、お勧めです。

< 呼吸機能検査(スパイロメトリー)>
気管支喘息や咳喘息、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器の病気が疑われるときや、その状態をみる時に行う検査で、息を吸ったり吐いたりして、息を吸う力、吐く力、空気を取り込む呼吸機能を調べることができます。
検査方法は、鼻をクリップでとめて、鼻から空気が漏れないようにします。そして、計測器とホースでつながったマウスピースを装着し、通常の呼吸を繰り返した後に、思いっきり吸ったり、勢いよく吐いたりして肺活量や1秒間にどの程度息を吐き出せるかなどを計測していきます。
クラシックな検査方法ですが、胸の聴診や呼気NO検査では見つけられない、喘息発作の状態をより高い精度で発見できることもあり、呼吸状態の評価に有効な検査です。検査は、息を吸ったり、吐いたりする必要があるので、約6歳前後から行う事ができます。

< 呼気一酸化窒素濃度測定検査(呼気NO検査)>
吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定し、気道炎症の状態を簡便に評価することができます。気管支喘息が疑われる場合や咳が続く場合に使用します。また、舌下免疫療法時に喘息発作が誘発される事があり、その副作用の評価に使用する場合もあります。
風邪をひいた後に、咳だけが治らずに続くケースが多くありますが、そのうち約30%は気管支喘息や咳喘息に移行するとも言われているため、早期に適切な治療を始めれば喘息への移行を防ぐことにもつながります。また、気道炎症の程度が分かれば、それに応じて吸入薬の投与量を増減することも可能なため、適正な治療選択にもつながります。
検査は約10秒前後、息を吹き込むことですぐに結果がでます。当院では、概ね、6歳前後から行っておりますので、咳が長引く方や喘息疑いの方などの場合、お勧めの検査です。

< 皮膚テスト(プリックテスト、パッチテスト)>
皮膚テストは皮膚にアレルゲンをつけ、その反応をみる検査で、プリックテストやパッチテストなどがあります。
プリックテストは食物アレルギーや花粉・ダニアレルギー(即時型アレルギー反応)の診断時に使用します。針と専用液を用いて、アレルゲンを前腕に少量入れ、15分後に出現した膨疹径を測定します。
パッチテストは接触性皮膚炎や金属アレルギー、遅延型アレルギーの診断時に使用します。ただし、食物アレルギーの場合、皮膚での反応と、実際に食べた時の反応(消化管に入った時の反応)とは異なる場合があるので、皮膚テストの結果の判断には注意が必要です。
試薬や検査キットの準備などがございますので、検査をご希望の場合は、事前のご相談をお願いします。(検査できるアレルゲンや適応疾患などが限定されるため、ご希望に添えない場合もございます)

気管支喘息・乳児喘息

気管支喘息とは、発作的にヒューヒューという喘鳴を繰り返す病気です。特に、2歳未満の場合、喘鳴が3回以上認めた場合、“乳児喘息”と診断します。その場合は、ウィルス感染(RSウィルスやヒトメタニューモウィルスなど)により喘鳴を伴うことがほとんどです。また、この時期の喘鳴には心臓疾患や喉頭・気管軟化症、胃食道逆流症などが隠れていることもありますので、正確な診断と処置が必要です。繰り返す場合や喘鳴が1回でも重篤な場合は、乳児喘息と診断します。

3歳以上のお子さまで喘鳴を認めた場合はほとんどが気管支喘息です。呼吸機能検査やβ刺激剤吸入による反応など診る必要もあります。いわゆる、小児喘息と言われるものです。これには体質的なもの(親が喘息や花粉症など)と環境的なもの(ハウスダストやダニなど)の両方が関係しています。体質改善は難しいですが、環境要因は家の効率的かつ効果的な掃除で改善が見込めます。

上記のように、喘息においては、まずは正確な診断が不可欠です。初めて喘鳴が聴こえた患者様と話して、よくあるご回答が、「喘息の気(け)がある」と言われたことがありますというものです。「気がある」というのは、喘息とは診断されていないが、それに近い状態ということです。これは、理解しがたいことですが、おそらくは、その医師が診断しきれない、あるいは、診断に自信がない場合に使われることが多いです。そのため、本当は喘息でしっかりとしたコントロールが必要なのに、喘息と診断されないがために、放置されている状態の方々が少なからずともいらっしゃいます。

喘息と診断しない時と診断した時とで異なる点は、咳などの症状が良くなっても、予防的に内服や吸入加療を行う点です。一度、発作が起きると、咳などの見た目の症状は消失しても、気管支レベルでは炎症がくすぶっており、2~3か月は再度発作が起きやすい状態が続いております。そのため、少なくとも3か月は予防が必要となります。症状を診ながら、予防の期間や種類を判断していきます。

治療は内服薬と吸入ステロイドがメインとなり、目指すは“咳症状ゼロ“ですが、なかなか難しい場合もありますので、せめても日常生活に支障がない、あるいは、体育や運動が思いっきりできるようになることが大切です。こどもの時に何度も発作を繰り返していくと、徐々に吸入や内服が効きにくくなり、長期化しやすいため、喘息は早期に診断し、早期からしっかりと治療・予防していくことが何よりも重要です。小児期にしっかりとコントロールをして、成人期に持ち越さないようにしましょう。

当院では月1~2回の定期的な管理(診察、処方、呼吸機能検査など)をさせて頂きます。もちろん、発作時にも吸入や点滴で対応いたします。入院が必要な場合は病院へ紹介をさせて頂きます。

アトピー性皮膚炎・乳児湿疹・乾燥肌

アトピー性皮膚炎とは、悪くなったり、良くなったりを繰り返す、痒みを伴う湿疹の病気です。乾燥肌がベースにあり、肘や膝、首、眼の周囲、耳の下など乾燥しやすく、湿疹がでやすい部位があります。特に、冬場で乾燥が激しい時期に悪化することや、こどもの場合は夏場でも汗やプールの塩素で痒みが悪化し、とびひ(伝染性膿痂疹)になることもあります。

基本的な治療はスキンケア(=清潔と保湿)とステロイド外用治療です。ステロイドに関しては悪いイメージを持たれている方もいらっしゃると思いますので、メリットとデメリット、使用方法についてしっかりと説明をさせて頂いた上で治療方針を相談させて頂きます。場合によっては、まずはスキンケアのみで経過を診ることもありますので、ご相談下さい。

また、2歳以上であれば、長期使用の副作用が比較的少ない“プロトピック”という免疫抑制外用剤の使用も検討できます。これはステロイドが長期使用(例えば、3か月間など)すると、皮膚が薄くなったり、色素沈着したり、逆に赤みが増したりといった副作用がでてくるのに対して、プロトピックは3か月から6か月間使用しても前述のような副作用はでずに炎症を抑える効果があることが優れている点です。プロトピックの効果が出てくるまでは、1~3か月間ほどかかりますが、しっかりと使用していると、ステロイドを使用する頻度・量が着実に減ってきます。ただし、塗り初めはしみたり、赤みが増すことがあったり、湿疹がひどい状態の時には塗らない方がよかったりと、いくつか注意点がありますので、処方時に説明をさせて頂きます。

また、当院ではアトピー性皮膚炎に対する漢方薬治療は行っておりませんので、ご了承下さい。乳児湿疹は生後2-4か月ごろがピークになる湿疹です。基本はスキンケアですが、場合により、ステロイドが必要になります。ひと昔は自然に治るから放置しておくことがありましたが、最近は、荒れている肌から食べ物やハウスダストが付くことで、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息などの発症に関係していると言われています。ですので、お肌をつるつるに保つことが大切です。当院ではスキンケアの仕方やステロイドの塗り方、塗る量など具体的に説明と指導をさせて頂きます。

食物アレルギー・アナフィラキシー

食物アレルギーとは、食物を食べた後に蕁麻疹や発疹、嘔吐、咳などの症状が起きる病気です。0歳~1歳時に最も多く、卵、乳、小麦の順で多いです。小学生になると、エビや魚類、ピーナッツなどが増えてきます。診断は血液検査、皮膚テスト、食物負荷試験があります。現在のところ、血液検査や皮膚テストは100%の精度はなく、最終的には食べて症状がでないかどうかでの判断になります。

食物アレルギーに関しては、診断と治療の考え方が10年前と比べると180度変わっております。以前によくあった間違えが、「血液検査や皮膚テストで卵アレルギーと言われ、ずっと卵を除去していますが、実際は卵を食べたことありません」という方です。このような方たちの中には、実際は食べて症状がでない方も多数いらっしゃいます。逆に、ずっと除去をしていることで、卵に対してアレルギー反応が強くなることがありますし、全く食べていないと、食べず嫌いになってしまい、小学生になっても何となく除去を続けてしまっている方がいらっしゃいます。これは、血液や皮膚の検査のみで診断していた時代、あるいは、現在でも診断している医師による弊害です。食物に関してのアレルギーの最終的な確定診断は、ある意味、乱暴な側面がありますが、食べてみてどうかです。卵や小麦が心配だから離乳食を始める前に検査をしてほしいとの要望を受けることもありますが、血液検査で陰性だからといって、100%食べて大丈夫というものでもないですし、血液検査で陽性とでても、食べても平気のこともあります。

また、治療に関して、以前は症状がでた食べ物は完全に除去することが基本でしたが、最近は、症状が強くでない程度の量を毎日あるいは隔日で食べて慣れさせる(経口免疫療法)が主流です。必要に応じて、血液検査を行い、その数値と症状の程度を参考にしながら、具体的な食事指導をさせて頂きます。また、症状が比較的軽めの方の場合、食物負荷試験を行う事があります。食物負荷試験は、食品を食べても症状がでない量はどの程度か、そして、症状がでる量はどのぐらいかを測るために行います。ただし、当院は小さなクリニックで病院のような設備や十分な人員はいませんので、食物負荷試験のリスクが高い(少なくとも、アナフィラキシーの既往がある方)と判断された場合は医療機器・人員が整っている病院へご紹介させて頂きます。

食物によるアレルギーの症状が最も強いアナフィラキシー(全身蕁麻疹、呼吸困難、嘔吐、血圧低下など)の症状がでたことがある方は、エピペン(アドレナリン自己注射薬)の所持が勧められます。基本的には、15kg以上のお子さま用ですが、症状の程度によっては、10㎏代前半のお子さまでも、処方いたします。乳幼児のお子さまの場合は、保護者あるいは保育園・幼稚園の先生、小学生のお子さまの場合は、保護者あるいは学校の先生・学童の先生がエピペンを使用できます。自ら打てるようになるのは、中学生以降です。ただ、使用が必要な時には本人はぐったりして打てない場合が想定されますので、基本的には保護者の方が使用方法を覚えて頂く必要があります。使用法にはいくつか注意点がございますので、エピペンを処方する際は、当院にて使用方法を指導させて頂きます。

アレルギー性鼻炎・結膜炎・花粉症・口腔アレルギー症候群

アレルギー性鼻炎はくしゃみ、鼻水、鼻閉を、アレルギー性結膜炎は目のかゆみや目脂、涙を主症状とするアレルギー反応による病気です。ハウスダストやダニによる通年性のものと、スギやヒノキによる季節性のものと2つあります。場合により、両方合併していることもあります。

治療の必要性は、血液検査で反応があるから治療というわけではなく、症状に応じて行います。基本的には日常生活に支障があるかないかが、治療開始の判断基準の一つになります。内服薬や点鼻薬、点眼薬を使用してコントロールしますが、内服薬は眠気の副作用がありますので、効果と副作用との兼ね合いをみる必要があります。抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)は10種類以上あり、一般的な効果の強さや副作用の強さの傾向はありますが、効果と副作用には個人差もありますので、効果あり&副作用少ない薬と言った、その方で相性が合う薬を選ぶことが大切です。

スギ花粉症の方で、昔は問題なかったけど、最近になり、リンゴやモモなどを食べて、口の中が腫れた、痒くなったという方がいらっしゃいます。このような果物を食べて口の中の症状がでる場合、“口腔アレルギー症候群”と言います。不思議ですが、スギ花粉の成分の一部と、リンゴやモモなどに含まれている成分の一部が一致するため、中学生や成人になってからも、突然、果物が食べられなくなることがありますのです、要注意です。

また、2014年秋よりスギ花粉症の方に対して、スギ花粉のエキス“シダトレン”による舌下免疫療法が使用できるようになりました。現在(2017年)はシダトレンが使用できる年齢は12歳以上が適応なため、中学生以上のお子さまか、成人の方が適応となります。治験が行われておりますので、数年後に5歳以上からも使用できるようになります。抗ヒスタミン薬内服や点鼻、点眼は症状に対しての治療(いわゆる、“対処療法”)でしたが、舌下免疫療法はスギ花粉のエキスを飲むことによって、スギに対して体を慣れさせるという、体質改善を目指すものです。かつては、皮下免疫療法という、週1回ほど通院して、スギの成分を皮下に注射して、体質改善を目指しておりましたが、これの治療の開始と継続(少なくとも数年間)には、かなりの労力と根気が必要でした。免疫療法が皮下から舌下に代わり、免疫療法へのハードルが下がり、より身近なものとなったのは、画期的な改良です。

当院では、舌下免疫療法を含め、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎に対しても診察・検査・処方を行っておりますので、お子さまも、成人の方(お母さま、お父さんなど)も、お困りの方は、ご遠慮なく、ご相談下さい。

小児循環器内科

心雑音・川崎病後など循環器専門の外来です。

こどもの心臓病には先天性心疾患、不整脈、心筋症、肺高血圧、川崎病など多岐にわたります。カテーテル検査・治療や小児心臓外科医がいる病院で診る必要がある病気もありますが、中にはクリニックなどの外来で診ることができる場合も多くあります。当院では心臓超音波検査、心電図検査が行えます。場合によっては、年に1回はかかつけの病院で、半年に1~2回は当院でのフォローといったような柔軟な対応も可能です。基本的には予約外来で診療、心エコー、心電図を行い、その場で結果・病状の説明を行います。一般診療時間帯ではお待ち頂く場合や後日の予約外来の枠で来て頂く場合があります。

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先天性心疾患

産まれた100人のうち1人に心臓の病気を持った子がいます。先天性心疾患といっても、穴が開いていたり、血管や弁が細かったり、心臓に4つあるはずの部屋が3つしかなかったり、大動脈と肺動脈が逆についていたりと様々です。最近は胎児期(妊娠中)のエコーで分かることも多くなってきました。

心臓疾患の病状は大きく分けて、外来で経過を診ることができる場合(時に、内服加療)と心臓カテーテルや手術が必要な場合があります。後者の場合はカテーテルができる施設や小児心臓外科医がいる施設で診てもらう必要がありますが、前者の場合は当院で診ることができます。自然閉鎖・治癒を目指せることも多いので、外来経過観察のみで終了することもあります。もちろん、カテーテルや手術が必要な場合は適切な時期に適切かつご希望の病院へ紹介させて頂きます。

遠くの病院への通院でお困りの方やセカンドオピニオン的な意見を聞きたい方など、ご相談頂けましたら診させて頂きます。また、RSウィルスに対するパリビズマブ(シナジス)の接種もできますので、ご相談ください。

川崎病

川崎病はこども特有の病気です。1961年に川崎富作先生が発見されて以来、いまだに原因が不明ですが、最近は遺伝子や何らかの感染が関与しているのではと言われています。

発熱期間が約10日間以上続くと、冠動脈拡張や瘤形成の合併頻度が高くなります。発熱後2~4週間前後が冠動脈拡大のピークです。その後、正常に戻るかどうか、あるいは瘤形成をした場合、さらに大きくならないか、心筋梗塞などの合併症が生じていないかをチェックしていく必要があります。

そのため、川崎病にかかった後、1か月後、半年後、1年後、2年後など、少なくとも5年間は心臓超音波検査や心電図でのフォローが必要です。発熱時(急性期)の治療は病院で行い、退院後のフォローは当院でも可能です。市立病院と国立循環器病研究センターにて、急性期の川崎病のお子さんを100人以上、冠動脈拡張や瘤形成を合併している方(成人の方も含め)を200人以上、診させて頂いた経験があります。

不整脈

心臓に何かしらの穴や細いところなど構造的な問題がある場合を除くと、不整脈が発見されるのは1歳半や3歳の健診時、あるいは小学校・中学校入学時の心臓健診時(聴診と心電図)がほとんどです。

もちろん、突然症状がでて発見されるタイプの不整脈もありますが稀です。お子さんのほとんどは自覚症状がありませんので、親御さんからすると突然の事になってしまいます。

初めて指摘された方は、診察、心臓超音波検査、心電図がまず必要です。学校の心臓健診や保育園・幼稚園の健診で異常を指摘された方、ご希望でしたら当院で精査ができますのでご相談ください。

心雑音

心雑音は大きく分けて、機能性(無害性)心雑音と病的心雑音があります。前者は心臓に構造的な異常はないけども雑音が聞こえる場合で、こどもでよくあります。聴診で機能性か病的かが区別付くこともありますが、心エコーで本当に異常がないかを一度は確認をした方がよいです。

保育園や学校の健診などで心臓に雑音がありますと突然言われることがあります。その場合、まずは診察と検査をさせてください。その上で、心臓のイラストなどを用いて、できる限り分かりやすく、検査結果をご説明いたします。場合によっては、当院での定期的なフォローや適切かつご希望の専門病院へご紹介をさせて頂きます。ご希望であれば、セカンドオピニオンでの他院へのご紹介も賜ります。

夜尿症、便秘症

夜尿症と便秘症は相談しにくいかと思いますが、軽くみたり、いつかは治るかなと放置していると、悪化する場合や、あるいは、日常生活に支障がでたりしますので、早めの対応をお勧めします。

夜尿や便秘でお悩みの方や放置している方、是非とも、一度、当院の外来にてご相談ください。尿検査、血液検査、超音波検査などを行いつつ、適切な治療薬をお勧めさせて頂きます。

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便秘症

「3日以上排便がなければ便秘」

便秘とは、「便がでない、あるいは便が滞っている」状態で、一般的には、3日以上排便がなければ便秘と言います。乳児であれば1日2-3回、幼児以降であれば1日1回程度が標準的な便の回数です。ただし、便が毎日出ていても、十分量でてない場合や便がコロコロのうさぎの便のような固いものであれば、便秘です。便が溜まると、直腸も拡張し、さらに便が溜まりやすくなり、便秘が悪化すると言った悪循環になります。水分をしっかりとる、食物繊維をとると言った日常生活の改善も必要ですが、そうしても改善しない場合は内服薬や座薬、浣腸で便コントロールをすることが大切です。

便秘は一時的なこともありますが、慢性的、繰り返す場合には薬でのコントロールが必要です。便秘の薬の中には、習慣性のある薬(ラキソベロンなど)と習慣性がない薬(酸化マグネシウムなど)があり、2~3ヶ月以上治療が必要な場合もあり、基本的には後者の習慣性のない薬がお勧めです。また、腹痛がある時や症状に緊急性がある場合は、浣腸(グリセリンや綿棒)も行った方がよいでしょう。

夜尿症

「小学1年生の約10%は夜尿症」

いわゆる、「おねしょ」です。5歳以上で月に数回以上のおねしょがあると、「夜尿症」と言います。

小学生低学年のうち、約10%の夜尿症の子がいます。原因は抗利尿ホルモンの分泌が少ない場合と膀胱そのものが小さい場合とがあります。

問題となるのは、小学生でお泊りがある時などです。夜尿はいずれ治るもので放置されやすいですが、長いと小学生高学年まで続くことがあり、その間、布団やパジャマの管理も大変ですが、何よりも、こどもの自尊心を傷つけ、心理面・社会面・生活面に様々な影響を与えることがあります。日々の生活に関わることですので、放置せずに、しっかりと治療することで、お子さまだけでなく、お母さまにとっても快適にお過ごし頂けるようになります。

2012年に水なしで飲める内服薬(ミニリンメルト)が発売され、自然経過に比べて治癒率が2~3倍上げることができ、夜尿の治療が劇的に変わりました。始めは血液検査やエコー検査、尿検査などが必要ですが、それ以降は定期的な内服薬と尿検査でフォローします。相談しにくい事かと思いますが、悩まずに、放置せずに、一度、是非ご相談ください。