アレルギー分野において、分⼦標的治療薬と⾔われる、新しい治療薬が近年次々と開発承認され、重症の気管⽀喘息の⽅や難治性の蕁⿇疹の⽅、重症のアトピー性⽪膚炎の⽅、花粉症の⽅など、症状とQOL(⽣活の質)を劇的に改善できるようになってきています。
具体的には、2012年にオマリズマブ(ゾレア®)、2016年にメポリズマブ(ヌーカラ®)、2018年にデュピルマブ(デュピクセント®)とベンラリズマブ(ファセンラ®)、2020年にデルゴシチニブ軟膏(コレクチム外⽤剤®)、2021年ウパダシチニブ錠(リンヴォック錠®)とジファミラスト軟膏(モイゼルト外用剤®)、2022年ネモリズマブ(ミチーガ®)が使⽤できるようになってきております。
治療薬によっては適応年齢が定められているため、当院では適応疾患と適応年齢に沿って、ゾレア注射薬、ヌーカラ注射薬、デュピクセント注射薬、コレクチム外⽤剤、モイゼルト外用剤など、気管⽀喘息の⽅や蕁⿇疹の⽅、アトピー性⽪膚炎の⽅などに、適応に応じて治療を⾏なっております。
コレクチム外⽤剤は2021年から、モイゼルト外用剤は2022年から、アトピー性⽪膚炎の⽅に使⽤できるようになった塗り薬です。アトピー性⽪膚炎の外用治療は、約20年間、ステロイド剤以外の外⽤剤としてはタクロリムス外⽤剤(プロトピック®)のみでしたが、コレクチム外⽤剤・モイゼルト外用剤はステロイド剤とは異なる外⽤剤で、⻑期間使⽤のリスクはほぼなく、⽪膚の「かゆみ」を抑えることで、ステロイドの使⽤頻度と使⽤量を減らし、アトピー性⽪膚炎の⻑期安定を⽬指せる薬です。
デュピクセントは2023年にアトピー性⽪膚炎の治療薬としての適応年齢が15歳以上から、⽣後6ヶ⽉以上に拡⼤されました。アトピー性⽪膚炎で、痒みや湿疹に苦しんでいるこども達にとって、有益な薬剤となります。15kg〜30kg未満の概ね⼩学⽣の⽅の場合ですと、4週間に1回の注射(成⼈などでは、通常、2週間に1回)で⾏えますので、注射の回数的にも導⼊しやすいです。この注射薬は、アレルギー科専⾨や⽪膚科専⾨の医師が扱うことができますので、ご希望の⽅やご興味がある⽅は専⾨外来にてご相談を受け付けております。
注射薬のメリットはステロイドよりも効果がある点とステロイドの副作⽤(むくみ、易感染性、胃潰瘍など)がなくなる点です。注射薬のデメリットは注射の痛みがある程度ある点と⾃⼰負担額の費⽤⾯です。痛みに関しては、注射薬が冷えた状態ですと痛みも強くなるので、なるべくそのような状況を避けるなどの⼯夫を⾏なっております。自己負担額の費⽤⾯については、年齢や年収などにもよって変わりますが、医療証制度(2024年3⽉時点、東京都23区内在住で高校3年⽣以下の⽅は無料)、⾼額医療費制度なども使⽤できます。各製薬会社が医療費に関する案内先や問い合わせ先を設けておりますので、以下のリンク先をご参考して頂きますようお願いします。
気管⽀喘息、アトピー性⽪膚炎、蕁⿇疹、花粉症で、お困りの⽅や新しい治療薬をご希望の⽅は、専⾨外来にて、ご遠慮 なく、ご相談下さい。
*ゾレア注射薬、デュピクセント注射薬、ミチーガ注射薬は都度の発注制となりますので、一度、受診して頂き、診察・検査にて適応基準を満たしているかどうかを確認してから、注射薬発注となります。(初めて受診する方の場合、受診初日から注射薬投与はできませんので、ご了承ください。)
【適応疾患と年齢】(2024年3⽉時点)
ゾレア注射薬:気管支喘息(6歳〜)、スギ花粉症(12歳〜)、蕁麻疹(12歳〜)
ヌーカラ注射薬:気管支喘息(6歳〜)
デュピクセント注射薬:気管支喘息(12歳〜)、アトピー性皮膚炎(生後6ヶ月〜)
ファセンラ注射薬:気管支喘息(15歳〜)
コレクチム外用薬:アトピー性皮膚炎(生後6ヶ月〜)
モイゼルト外用薬:アトピー性皮膚炎(生後3ヶ月〜)
ミチーガ注射薬:アトピー性皮膚炎(13歳〜)
【医療費などのリンク先】
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