「風邪はさまざま」
いわゆる“かぜ”の定義は人によってバラつきがありますが、基本的には上気道(のどや鼻)の急性炎症の総称です。ウィルスに感染して、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱といった症状がおこります。ウィルス感染のため抗生剤は無効ですし、必要ないです。「発熱=抗生剤」と思われている方もいらっしゃいますが、このように思ってしまうのは医療側の責任もあります。ひと昔では熱で受診したら抗生剤を必ず処方されるのが常識だったからです。そのような医療を提供されていたら、逆に抗生剤なしで様子見ることが不安でたまらなくなってしまいます。このようなお母さん達に何人も会いました。
風邪に対しては、抗生剤ではなく、しっかりと水分(塩分や糖分も)をとって、家でゆっくり休むのが一番です。咳や鼻水があれば、それに対するお薬を飲む。それを“対処療法”と言います。ただし、場合によっては、細菌感染であったり、インフルエンザであったりしますので、診察時の状態(例えば、発熱が3日間以上)によってはウィルスによる風邪以外を考える必要があります。その場合は血液検査(院内でCRP検査ができます)や迅速検査(インフルエンザや溶連菌など)で正確に原因精査を行い、適正な治療につなげます。